第66話
文字数 373文字
「そもそも妖怪とはいったい何だ?」
「妖怪について知らなかったとはねえ」
「知らなくもないぞ」
ナツは掃除をする手を止める。
「本物と話すのは初めてだからな」
屋敷を掃除している伝説の存在をナツは眺めた。
白雲が本棚を整理する手を止める。
「じゃあ、説明しとこうか」
「妖怪は確定できない存在、実体があるような無いような、一人だけったり、大勢だったり」
「はっきりしないな」
「はっきりしないのが特徴なのさ」
ナツは白雲の説明に納得しようとして天を仰ぐ。
「良く知られているのは天狗に狐に狸」
「昔話にだけ登場する連中だ」
「今までは、だねえ」
「そうだな、これからは違うな」
「まあ、不思議現象を起こす者たちのことだねえ」
「わかったような、わからないような」
「妖怪たちもわかっていないと思うねえ」
白雲の言葉にナツは頭をかいて答える。
「でも、生物に留まらない存在だよ」