第4話 悪魔の契約
文字数 3,852文字
コノハが自殺したことにより星川高校は臨時休校に入った。その時間を駿は無駄にしない。
ゆっくりとじっくりとコノハ達を追い込んだのは、六芒塔を狙う準備をしていたからだけではない。二人の背後にいる大元をおびき出すためだった。
しかし、その存在が姿を現すことはなかった。足跡一つ残していない。コノハから情報を抜き取る事が出来なかった以上、しらみつぶしに学校の生徒に目を配らせなければいけないが、そんなめんどくさいことはひとまず後回しだ。それをするにしても最後の手段。
駿は電気を消した暗い自室で複雑な術式をくみ上げた。その手には人型にかたどられた紙が一枚握られている。式紙。
駿のパソコンに映るタキシードを着た、まる眼鏡のマスク美男子。その名前を見て不敵に笑った。
「久しぶり、デメール。今会いに行くから」
夕方、コトクセンタービル。
世界有数のファッション史に名を刻む日本でもトップの企業KtK。
そのビルの前に一台の白のぬりの高級車が止まる。
タクシードを着たマスク美青年が車の助手席から降り、後部座席のドアを空ける。
出てきた女性は淡いピンクに染められた長い髪をたなびかせ10センチもあるヒールを鳴らす。
美しく整えられた容姿はまるで女神のように美しい。しかし、何処か人間味も失っているように見える。
20代後半に見える彼女だがその容姿は年齢すら簡単に危うくする。
タクシードの美青年と美しい女性は無言で厳重に警備されたそのビルに入っていった。
10階建てのビル、7階以降は彼女の住宅なっている。
家に着いた彼女は8階の広く薄暗いホールに足を運ぶ。大きな自動ドアが開くと同時に、彼女の全身が瞬く間に淡い光に包まれ、次の瞬間今まで着た服が飛散するように消えていく。
身に着けていたネイルやイヤリング、ヒールも散っていき髪色までも漆黒の黒色へと変わっていく。
あらわになる童顔とフリルのついたモノトーンのかわいい洋服。袖や短い黒のスカートから伸びる細く白い綺麗な肌がよく目立つ。
地雷系といわれる彼女はホールの中央に置かれた黒いL字のソファーの上に寝っ転がった。
同様に彼女の後をついてきていたタクシード姿の美青年は彼女の頭を優しくなでながら言葉を投げかける。
「起きてください、ディアン。お客様は既においでになっていますよ」
彼女は目の色を変え、不気味に微笑みながら体を起こす。
その名を呼ばれた意味、誰が来たのかも既に知っていたからだ。
彼女はソファーから下りず自動ドアの反対側に置かれている9枚の液晶パネルの方を見つめ、改めて自己紹介をはじめる。
「初めまして。私は六芒塔の第六塔ディアン。コーディネーター兼モデル兼ファッションデザイナーをしてるの。普段は服を作ってる」
液晶パネルの前に立つ駿は普段作っている服が魔導アーマーであることを知っていた。
魔法で普段とは全く別の容姿へと変えている駿も同様に目の前のディアンに挨拶をする。
「俺は『ルインの悪魔』。ゼティスを潰すものだ。よろしく、ディアン」
「ええ、悪魔」
にこやかに笑うディアンはタクシードの美青年を見つめる。
「久しぶりの再会でしょ?デメール」
一度もルインの悪魔との関係を伝えたことのなかったデメールは明らかにディアンに動揺していた。
ルインの悪魔の指示でディアンを用意していたデメールに取ってそれは予想外のものだった。
「あら、知らないとでも思ってたの?側近なのに侵害だなー、そんな私を下に見ないでよ。第六塔だけど。まあ、階級に興味はないから私はこのままでいいんだけでね」
そう言って立ち上がるとまっすぐに駿の方へ歩いていく。
大きすぎず小さすぎない程よい胸を強調しながら、谷間が見えるように胸を寄せ腰を落とす。
悪魔に対し大胆に誘惑するディアンは瞳孔の奥をハートにさせながら頬に両手を伸ばす。
「警戒しないで。私は貴方のすべてを見たいの、知りたいの。だから、隠さなくていい」
彼女のやわらかい肌が駿の頬に触れると、悪魔の全身がうっすらと光を浴びる。同時に容姿を形成していた魔力が崩れ始め駿の本当の姿があらわになっていく。
予想もしていなかった状況に六芒星の第六塔のディアンを舐めていたことを自覚せざる終えなかった。
さすがファッション業界にいる人物と言うべきか、人を見抜く力、容姿を変える魔力、体に身に着ける魔力の扱い方が明らかに別格だった。
「ほら、素敵な顔じゃない。やっぱり私好み。すっごい好き」
ディアンは駿の頬から手を離すとソファーに戻り腰を下ろす。
「うん。協力する。貴方の全てに」
そうきっぱり言いきる彼女の言葉に戸惑うデーメル。
駿はその理由を問いかけた。
「どうしてだ。そこまで知っていて、なぜ協力する。上の座に一番興味ないことも、六芒星の中で一番ゼティスをしたっていることも知っている」
右手に魔力を込める駿にディアンは続ける。
「好きだから。好きになったの、ゼティスも好きだけど、貴方のほうがもっと好き。それじゃダメ?」
つぶらな瞳の奥にあるハート。先ほどと同じ顔で駿を見つめていた。
初対面の相手にそんな理由が通じるはずないのにもかかわらず、彼女はいたって真剣そのものだった。
そんな意味の分からない行動に原理に、仮にも第六塔を納めているディアンの横暴な態度に駿の表情から笑みがこぼれる。
同時にディアンの眼光にさらにハートが増えた。
「なんだそれ。もうちょっとまともな理由を用意できないのか?その理由をどうやって俺に証明してくれるんだ?今この瞬間に!そんなことにも頭も使えないなら」
「ちょっ、ちょっと待って!」
急に取り乱す彼女はソファーから飛び降りると上目づかいで駿を誘惑する。
「なんで?私じゃダメ?やだよ、行かないで。用意するから、少し待って」
ディアンは必死に悪魔に訴えかけるとその部屋を後にした。
彼女がいなくなってから部屋に取り残された2人。始めに動いたのはデーメルだった。
「すみません、我が主。この度の失態はすべて私に責任があります」
デーメルは駿に深く頭をひれ伏した。駿はそれを悪魔の形相でただ無言で見下ろした。
日が暮れ始めた夕方。
とある屋敷の豪邸で大きな会議が行われようとしていた。
広々とした畳部屋に50人ものヤクザの組長が左右に向かい合って座っている。
その真ん中を一人の男が通る。
皆が頭を下げた。
そして最奥の中央で腰を下ろすと一括を入れるように大きな声で豪快に叫ぶ。
「顔を上げろ!」
「「うっす」」
渋い男たちの返事が響く。
そう、この50人のヤクザの組長を仕切る男こそ六芒星の第五塔キサラギ。
「お前たちに紹介したい奴がいる。来い!」
その言葉と同時に障子が開かれ、真ん中の通路を一人の若い男が歩いていく。全身黒いスーツに覆われ、黒い仮面と黒いマントを羽織っている場違いなその男。
その場にどよめきが起こる。無理もない。
その若そうな男はキサラギの前で一礼すると隣に静かにたたずむ。
代わりにキサラギが大きな声で言った。
「この男が『ルインの悪魔』。ゼティスを倒すその目的のために手を組むこととなった!」
「しかし!」
「奴には!」
次々に意義を唱える男たちの声で場が支配されるがその全てキサラギが一括する。
「沈まれ!わかってる。だから、同じ目的の溜めに契約した。『ルインの悪魔』が絶対に裏切れないように血の契りをな」
「本気ですか」
「ああ。この悪魔は確かに言った。俺たちの戦力をさらに上げる武器を用意すると。第二塔から買わなくても余りある戦力を用意できると。労力と数と金は十分溜まった。そして、ルインの悪魔が入った分、戦力も、更には最大の知略も手に入れた。全てのピースが見つかったんだ。俺たちが立場を塗り替える瞬間はもう目の前に迫っている」
キサラギの言葉に空気が変わり沈黙が続く。
永遠に続くと思われたその静寂をキサラギは自ら切り伏せた。
「野郎ども、覚悟はいいか?」
駿とデーメルの元にディアンが走って戻ってきた。頭を下げ続けるデーメルの姿を一切気にする様子もなく、悪魔の目の前に持ってきたものを差し出す。
「これを貴方に挙げる!だから!いらなくなったらあなたがそれを処分していいから、道具として使いっていい。私の命を使った最終兵器、そのサイズだと最高火力の武器だから!だから、お願い!見捨てないで」
駿は受け取ったガラスのような機械に包まれる10センチほどの正方体をまじまじと見つめた。
見たことない魔力がふんだんに使われている。そしてもっとよく見ればその物体が微かに一定間隔で振動していることに気が付いた。
右目を赤く光らせ、さらに光の量子の動きに注目しパワポを感じ取り分析する。そして、驚異的な事実を理解した駿はまた悪魔の様に頬を引き上げる。冷静さを保とうとも抑えきれない感情が、悪魔が溢れ出す。
「デーメル。お前はよくやったよ。いい逸材を見つけ出した」
「え?じゃあいいの?私そばにいていいの?一緒にいていいの?」
「ああ。気に入ったよ。心の底から、本当に本当にお前は最高だ!」
不気味に笑う駿はディアンを強く抱きしめる。ディアンは腰から力が抜け瞳の奥からハートが一気に溢れ出す。同時に透明な愛の液が太ももを伝って落ちていく。芯の芯までディアンは悪魔に溺れていく。
魂を売ったその体をただ悪魔に捧げた。
駿の右手のひらにある彼女の心臓を優しく握る。自分の心臓を悪魔と契約し兵器へと変えたその狂気が駿を魅了した。
ゆっくりとじっくりとコノハ達を追い込んだのは、六芒塔を狙う準備をしていたからだけではない。二人の背後にいる大元をおびき出すためだった。
しかし、その存在が姿を現すことはなかった。足跡一つ残していない。コノハから情報を抜き取る事が出来なかった以上、しらみつぶしに学校の生徒に目を配らせなければいけないが、そんなめんどくさいことはひとまず後回しだ。それをするにしても最後の手段。
駿は電気を消した暗い自室で複雑な術式をくみ上げた。その手には人型にかたどられた紙が一枚握られている。式紙。
駿のパソコンに映るタキシードを着た、まる眼鏡のマスク美男子。その名前を見て不敵に笑った。
「久しぶり、デメール。今会いに行くから」
夕方、コトクセンタービル。
世界有数のファッション史に名を刻む日本でもトップの企業KtK。
そのビルの前に一台の白のぬりの高級車が止まる。
タクシードを着たマスク美青年が車の助手席から降り、後部座席のドアを空ける。
出てきた女性は淡いピンクに染められた長い髪をたなびかせ10センチもあるヒールを鳴らす。
美しく整えられた容姿はまるで女神のように美しい。しかし、何処か人間味も失っているように見える。
20代後半に見える彼女だがその容姿は年齢すら簡単に危うくする。
タクシードの美青年と美しい女性は無言で厳重に警備されたそのビルに入っていった。
10階建てのビル、7階以降は彼女の住宅なっている。
家に着いた彼女は8階の広く薄暗いホールに足を運ぶ。大きな自動ドアが開くと同時に、彼女の全身が瞬く間に淡い光に包まれ、次の瞬間今まで着た服が飛散するように消えていく。
身に着けていたネイルやイヤリング、ヒールも散っていき髪色までも漆黒の黒色へと変わっていく。
あらわになる童顔とフリルのついたモノトーンのかわいい洋服。袖や短い黒のスカートから伸びる細く白い綺麗な肌がよく目立つ。
地雷系といわれる彼女はホールの中央に置かれた黒いL字のソファーの上に寝っ転がった。
同様に彼女の後をついてきていたタクシード姿の美青年は彼女の頭を優しくなでながら言葉を投げかける。
「起きてください、ディアン。お客様は既においでになっていますよ」
彼女は目の色を変え、不気味に微笑みながら体を起こす。
その名を呼ばれた意味、誰が来たのかも既に知っていたからだ。
彼女はソファーから下りず自動ドアの反対側に置かれている9枚の液晶パネルの方を見つめ、改めて自己紹介をはじめる。
「初めまして。私は六芒塔の第六塔ディアン。コーディネーター兼モデル兼ファッションデザイナーをしてるの。普段は服を作ってる」
液晶パネルの前に立つ駿は普段作っている服が魔導アーマーであることを知っていた。
魔法で普段とは全く別の容姿へと変えている駿も同様に目の前のディアンに挨拶をする。
「俺は『ルインの悪魔』。ゼティスを潰すものだ。よろしく、ディアン」
「ええ、悪魔」
にこやかに笑うディアンはタクシードの美青年を見つめる。
「久しぶりの再会でしょ?デメール」
一度もルインの悪魔との関係を伝えたことのなかったデメールは明らかにディアンに動揺していた。
ルインの悪魔の指示でディアンを用意していたデメールに取ってそれは予想外のものだった。
「あら、知らないとでも思ってたの?側近なのに侵害だなー、そんな私を下に見ないでよ。第六塔だけど。まあ、階級に興味はないから私はこのままでいいんだけでね」
そう言って立ち上がるとまっすぐに駿の方へ歩いていく。
大きすぎず小さすぎない程よい胸を強調しながら、谷間が見えるように胸を寄せ腰を落とす。
悪魔に対し大胆に誘惑するディアンは瞳孔の奥をハートにさせながら頬に両手を伸ばす。
「警戒しないで。私は貴方のすべてを見たいの、知りたいの。だから、隠さなくていい」
彼女のやわらかい肌が駿の頬に触れると、悪魔の全身がうっすらと光を浴びる。同時に容姿を形成していた魔力が崩れ始め駿の本当の姿があらわになっていく。
予想もしていなかった状況に六芒星の第六塔のディアンを舐めていたことを自覚せざる終えなかった。
さすがファッション業界にいる人物と言うべきか、人を見抜く力、容姿を変える魔力、体に身に着ける魔力の扱い方が明らかに別格だった。
「ほら、素敵な顔じゃない。やっぱり私好み。すっごい好き」
ディアンは駿の頬から手を離すとソファーに戻り腰を下ろす。
「うん。協力する。貴方の全てに」
そうきっぱり言いきる彼女の言葉に戸惑うデーメル。
駿はその理由を問いかけた。
「どうしてだ。そこまで知っていて、なぜ協力する。上の座に一番興味ないことも、六芒星の中で一番ゼティスをしたっていることも知っている」
右手に魔力を込める駿にディアンは続ける。
「好きだから。好きになったの、ゼティスも好きだけど、貴方のほうがもっと好き。それじゃダメ?」
つぶらな瞳の奥にあるハート。先ほどと同じ顔で駿を見つめていた。
初対面の相手にそんな理由が通じるはずないのにもかかわらず、彼女はいたって真剣そのものだった。
そんな意味の分からない行動に原理に、仮にも第六塔を納めているディアンの横暴な態度に駿の表情から笑みがこぼれる。
同時にディアンの眼光にさらにハートが増えた。
「なんだそれ。もうちょっとまともな理由を用意できないのか?その理由をどうやって俺に証明してくれるんだ?今この瞬間に!そんなことにも頭も使えないなら」
「ちょっ、ちょっと待って!」
急に取り乱す彼女はソファーから飛び降りると上目づかいで駿を誘惑する。
「なんで?私じゃダメ?やだよ、行かないで。用意するから、少し待って」
ディアンは必死に悪魔に訴えかけるとその部屋を後にした。
彼女がいなくなってから部屋に取り残された2人。始めに動いたのはデーメルだった。
「すみません、我が主。この度の失態はすべて私に責任があります」
デーメルは駿に深く頭をひれ伏した。駿はそれを悪魔の形相でただ無言で見下ろした。
日が暮れ始めた夕方。
とある屋敷の豪邸で大きな会議が行われようとしていた。
広々とした畳部屋に50人ものヤクザの組長が左右に向かい合って座っている。
その真ん中を一人の男が通る。
皆が頭を下げた。
そして最奥の中央で腰を下ろすと一括を入れるように大きな声で豪快に叫ぶ。
「顔を上げろ!」
「「うっす」」
渋い男たちの返事が響く。
そう、この50人のヤクザの組長を仕切る男こそ六芒星の第五塔キサラギ。
「お前たちに紹介したい奴がいる。来い!」
その言葉と同時に障子が開かれ、真ん中の通路を一人の若い男が歩いていく。全身黒いスーツに覆われ、黒い仮面と黒いマントを羽織っている場違いなその男。
その場にどよめきが起こる。無理もない。
その若そうな男はキサラギの前で一礼すると隣に静かにたたずむ。
代わりにキサラギが大きな声で言った。
「この男が『ルインの悪魔』。ゼティスを倒すその目的のために手を組むこととなった!」
「しかし!」
「奴には!」
次々に意義を唱える男たちの声で場が支配されるがその全てキサラギが一括する。
「沈まれ!わかってる。だから、同じ目的の溜めに契約した。『ルインの悪魔』が絶対に裏切れないように血の契りをな」
「本気ですか」
「ああ。この悪魔は確かに言った。俺たちの戦力をさらに上げる武器を用意すると。第二塔から買わなくても余りある戦力を用意できると。労力と数と金は十分溜まった。そして、ルインの悪魔が入った分、戦力も、更には最大の知略も手に入れた。全てのピースが見つかったんだ。俺たちが立場を塗り替える瞬間はもう目の前に迫っている」
キサラギの言葉に空気が変わり沈黙が続く。
永遠に続くと思われたその静寂をキサラギは自ら切り伏せた。
「野郎ども、覚悟はいいか?」
駿とデーメルの元にディアンが走って戻ってきた。頭を下げ続けるデーメルの姿を一切気にする様子もなく、悪魔の目の前に持ってきたものを差し出す。
「これを貴方に挙げる!だから!いらなくなったらあなたがそれを処分していいから、道具として使いっていい。私の命を使った最終兵器、そのサイズだと最高火力の武器だから!だから、お願い!見捨てないで」
駿は受け取ったガラスのような機械に包まれる10センチほどの正方体をまじまじと見つめた。
見たことない魔力がふんだんに使われている。そしてもっとよく見ればその物体が微かに一定間隔で振動していることに気が付いた。
右目を赤く光らせ、さらに光の量子の動きに注目しパワポを感じ取り分析する。そして、驚異的な事実を理解した駿はまた悪魔の様に頬を引き上げる。冷静さを保とうとも抑えきれない感情が、悪魔が溢れ出す。
「デーメル。お前はよくやったよ。いい逸材を見つけ出した」
「え?じゃあいいの?私そばにいていいの?一緒にいていいの?」
「ああ。気に入ったよ。心の底から、本当に本当にお前は最高だ!」
不気味に笑う駿はディアンを強く抱きしめる。ディアンは腰から力が抜け瞳の奥からハートが一気に溢れ出す。同時に透明な愛の液が太ももを伝って落ちていく。芯の芯までディアンは悪魔に溺れていく。
魂を売ったその体をただ悪魔に捧げた。
駿の右手のひらにある彼女の心臓を優しく握る。自分の心臓を悪魔と契約し兵器へと変えたその狂気が駿を魅了した。