第25話 生徒会!

文字数 1,737文字

 次の日の放課後も五人で部室に向かった。閉じを開けると俺たちを待っていたかのように生徒会の六人が出迎えてくれる。生徒会全員が揃っている光景に思わず圧巻されてしまった。生徒会全員が一緒にいる姿を最後に見たのは、生徒会引継ぎ式以来一度もない。俺だけではなく、藍も含め生徒会一同のオーラに圧巻されていた。
 真理愛さんは、藍への配慮か改めて生徒会一同を紹介してくれる。まず、真理愛さんのすぐ隣に立つ女性の名前は栗原麗華。生徒会副会長で真理愛さんの右腕で、更に風の超能力をまで使えるらしい。また真理愛さんの隣に並んでも違和感のないほど容姿が整っている。
 その隣にいるとても背の低い元気でかわいらしい女性は持木陽菜。見た目によらず生徒会校風兼風紀委員長で学校の秩序を守ってくれている。彼女は重力を操る超能力者で、俺もいくつか噂を聞いたことあるほど強いらしくその実力は学校一と言われている。
 その隣にいるとても落ち着いている様子のメガネをかけた女性は高里リン。生徒会会計を携わっているらしい。全くしゃべらない地味な彼女のメガネは真理愛さん曰く伊達メガネらしい。うん、よくわからん。青薔と全く対照的だが同じように掴める気がしない。
 その隣にいる三ミリの坊主頭で服の上からでもわかる筋肉男は藤井怜。生徒会校風兼風紀副委員長で、初めて聞いたが本人曰く無能力者で戦うことはとても苦手らしい。いや、本当全く信用できない。
 その隣にいるメガネをかけた少し背の低い男性は生徒会書記。以上六人がこの部活の部員で先輩だ。あまりに豪華すぎる部員に本当お腹いっぱい。
 生徒会の仕事が忙しく、この部室に来ることはあまりないらしく、後輩の俺たちに部室の合鍵を渡してくれることになった。その為にも二年生の俺たちの中で一人班長を作って欲しいと。青薔の押しにより藍が班長をすることになった。実際、皆よりも大人びているような印象を受ける機会は多々あった。気が座っているような、そんな感じだ。先輩たちは俺たちが入部したと言うことでわざわざ、自己紹介に来てくれたようだった。先輩たちは部室を出て行ってそれぞれの仕事に向かって行った。俺たちは部室に残り休んだ。生徒会一同前に気疲れしてしまっていた。
「忙しいんだろーな」
 俺の言葉に夏希が反応してくれる。
「何してるんだろうね」
「会議とかじゃない?」
 夏希の隣に座っている紗香が答える。
「まだ学校始まって三日目だぜ?」
「ほら、クラスメートと仲良くなることを目的とした初めにある行事のトレッキングとか遠足とか」
 紗香の説明にみんなが納得する。
「ああ、大変だな。」
「だからもう今から会議なのね」
 青薔は熱心に藍に行事を教えていた。俺は窓からボーっと外を見つめていた。すると、気がかりなものが視界に映る。見たことのある男子生徒が二人の男子生徒に連れていかれる所だった。その見たことある生徒とは、ランニングの時助けられなかったあの生徒だった。彼を連れて行く二人の男はあまり彼の友達の様には見えなかった。無理矢理連れていかれているような気がした。俺は彼の元へ向かおうと急いで席を立つ。突然の俺の行動にみんなが戸惑っていた。
「カイト!どうしたの?」
「ああ、ちょっとな」
 俺は夏希の言葉に適当に返事を済ませ部室を飛び出した。俺は頭があまり良くないから、いろいろ考えて返事をする暇なんてなかった。ただ困っている人を見たら全力で助ける。それが俺の答えだ。
 カイトの飛び出していく姿を見ながら青薔が言う。
「トイレかな~」
 夏希がその言葉を否定した。
「違う。あれは、あの時のカイトは、誰かを助けようとしてる。それしか見えなくなる馬鹿なの」
 夏希の言葉を聞いて藍は席を立って言った。それに藍が落ち着いた声で言う。
「本当やさしい馬鹿って感じだねー。俺もちょっと行ってくるよー」
「私も行く!二人は残手てくれる?誰か来るかもしれないから」
「留守は任せなさい!」
「いいよー待ってるね」
「ありがとう、青薔、紗香」
「はやくー」
 藍は夏希にそう声をかけた。その声で振り返り、二人はカイトの後を追いかけた。
「紗香置いてきたけど、カイトのやつがどこ行ったかわかるの?」
「ええ、見てたから。あの目線の先はおそらく体育館倉庫裏」
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