第56話 橋の終わりへ

文字数 376文字

忘れてなんかいない。
諦めることを拒み続けた。
見えなくなる明日が怖かった。
何も起こらない夢を信じない。
ただ続けることと信じながら名前を探した。
触れることの出来ない悔しさ。
間違ってる、もしかしたらも間違ってる。
疑うことだけ、ありもしない明日を受け入れた。
それがきっと楽だったから、どこかで諦め、
認めないと拒み続けた。
それはずっと先の明日でいい。
そう繰り返す今日を見つめた。

届かないなら、叶うまで呼び続ければいい。
砕けたのなら、拾い集めればいい。
探し続けたいなら、認めればいい、
それが奇蹟を必要とするくらいのことだとしても。
ゴロー太は決める。
そして選んだことを後悔しない。
そして受け入れることを望む。

永い橋は、その終わりを見せる。
もう、拒みはしない。
その終わりに未来を見せたりはしない。
ただ、終わるだけだ。
ゴロー太は、走る。
橋の終わりに向かって、走り始める。
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