第11話 左回りの時計が物語る未来

文字数 468文字

ゴロー太は大きな町に入る。そこで見た大時計。
お昼にはまだ時間がありそうだ。
ゴロー太は角を曲がる。そこには、昨日まで空き地だったゴミ捨て場がある。
そのゴミの山に、あの人形が目に写る。
ゴロー太はちらっと見ただけで、次の角を曲がる。
そこで見た時計は、お昼を過ぎている。

ゴロー太の目の前を、猫の軍団が走り抜ける。先頭はゴロー太だ。
なんで、みんながここにいるのか、わからない。
ゴロー太は、みんなの後を追いかける。
次の角を曲がると、すでに夕方だ。
遠くの空を、銀色のハトが飛んで行く。

気が付くと、なにもない世界にゴロー太はいる。
誰もいない。なにもない。あるのは虚空の扉だけだ。
ゴロー太は、その扉を越える。
すでに日は暮れている。
真っ暗な公園に咲く桜が、一面に黒い花びらを散らす。

うさぎが駆け抜ける。ゴロー太は、すかさず後を追いかける。
川を渡り、森を抜け、真っ直ぐな道を走ると、
うさぎは消えてしまう。

ゴロー太は、目が覚める。初めて見た夢。
ゴロー太が見たいと望んだ夢。
こんなことのために、走り続けるんじゃない。
だけど、今夜は、あの空き地の隅っこで丸くなる。
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