第14話 2つの夢を結ぶもの

文字数 384文字

ゴロー太は走り続ける。
見たことのない光景。会ったことのない人達。知らない町。
誰かの記憶。誰かの思いを感じながら、ゴロー太は走る。
これは夢の中。自分のじゃない。誰か知らない記憶の海。
風向きが違う。なにもかも異質で、今まで感じたことのない世界。
ゴロー太は感じる。言葉でなく、目に見えるものでもない。
ただ、感じるんだ。

これが夢だとわかる。
歓び、悲しみ、そして憎しみ。世界は誰かの思いを中心に、回っている。
涙がでるほど、嬉しかったこと。
涙が涸れるほど、悲しかったこと。
すべては夢の中で、溶け合っている。
ゴロー太は走り続ける。何も言わないが、ただ受け入れてくれる。

誰かの物語を感じる。
心に刻まれた記憶は、読むことができない。
思い続けた言葉は、聞くことができない。
それでも、知っている。その物語を知っている。

ゴロー太は、夢を見る。
走り続ける夢。
そして、夢から覚めても、走り続ける。
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