第47話 街の入り口の永い吊り橋 その2

文字数 442文字

何度も、何度も振り返った。
前に進む、砕け散ったカケラを拾い集め、
歩き続ける。
拒み始めた橋は、どこまでも先を見せない。
疑うことは蜃気楼。
もう、戻らない。
もう、戻れない。
信じたら諦めない。
諦めたら、なにも信じない。

歩き続けるその先に、待つものはなくても、
いつか戻って来る。
僕達は、僕達を見つけられるだろうか。

寂しさは慣れることこができる。
だけど、いつまでも湧き出る虚しさは何だろう。
もう、探していない。
もう、戻らない。
自由であること、それが一番怖いこと。
あしたでもいい。
あしたでいい。
急ぐことは、在りはしない。
目指す場所なんて無い。
目指す必要も無い。
ただ、立ち止まることだけが怖いこと。

自由であることと、自由でいたいことは違う。
何も失わない代わりに何も得たりしない。
それでもいい。望んだことと少し違うだけ。

何度も、何度も振り返る。
その小さな身体を震わせながら、
僕達の夢が潰えても、この道は無くならない。

歩き始めてから、どのくらいの時が経つのだろう。
拒み続ける橋は、どこまでも先を見せない。
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