第10話 機械仕掛けの人形

文字数 429文字

ゴロー太は動くものが大好きだ。
ごみ捨て場にあった人形を、見つけたゴロー太は、
さっそくネコパンチを食らわす。
“わたしはありす、なかよくしてね、ゴゴギボボ”
人形は無表情で話しかける。

ゴロー太は嬉しくて、何度もネコパンチを繰り出す。
“わたしはありす、なかよく、ジジコキフニホ”
パンチのたびに、言うことが違う。ゴロー太は有頂天になる。
日が暮れるのも忘れて、ゴロー太は楽しい時を過ごす。

次の日、ゴロー太は人形のもとに駆け寄る。
そして、特大のネコパンチを食らわす。
しかし、人形はしゃべらない。
何度叩いても同じ。
ゴロー太の頭の中で、ある光景が甦る。
二度と来るものかと、ゴロー太は、この場所を後にする。

次の日、ゴロー太の足は自然と、あの人形へ向かう。
それもフルスロットルで。
しかし、ごみ捨て場は、ただの空き地へと変わっている。
ゴロー太は、その空き地を、狂ったように駆け回る。
息が切れかかったころ、ゴロー太はぴたりと止まる。

ゴロー太は動くものが大好きだ。
動かないものは嫌いだ。
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