第42話 訪れるもの

文字数 275文字

暗闇が怖いと言っては、吸い込まれるように走った。
もう、戻れない。深く、深く走った。
違う。きっと違う。
戻れるさ。時間をかけてゆっくりと。
日差しが眩しい。見ることも、考えることもしなかった。
ただ真っ直ぐに、走れば良かった。

また出会える。違う時間を刻む世界で、
違う場所で、今度は自然に会える。
その理由があるから、きっと在るはずだから、
今を走って行ける。
振り向いてもいい。届かなくてもいい。
それが、夢に見たことと同じになればいい。

目を覚ませ。ゴロー太は走り続ける。
置いて行かれないように、
その時が訪れてもいいように、いつでも。
今は、駆け抜けて行くだけでいい。
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