第49話 奇蹟の順番

文字数 461文字

永い吊り橋の途中にできる長蛇の列。
その列の先もまた見えない。
いつまで待ってもその行列は絶えない。
その先にあるもの、それは奇蹟を起こすという。
だから、一向に進まなくても誰もが待っている。
自分の番はいつになるのか。
しかし、誰もその先を確かめた者はいない。
こんなにも長い行列自体が、奇蹟そのものと言うものもいる。
その脇を、ゴロー太は歩く。
列に加わりたいと思ったこともある。
過去に遡ってみたい。あの時、もっと早く気づいていれば。
でも、その奇蹟は過去に戻れない。
これから起こるであろう未来しか見通せないらしい。
奇蹟を当てにしていたら、いったい何時になることだろう。

ゴロー太は、明日の夢を見ない。
遠い星に願いを語っても、朝になれば忘れられる。
その輝きが眩しいだけだ。
だけど、手が届かないから伸ばしたくなる。
応えてくれないから話したくなる。

ずっと歩き続ければこの橋も渡れる時が来る。
歩き続ければ、その分だけ未来がやってくる。
立ち止まっても、同じ時間が過ぎていくのに、
優しさが足りないから怯えてしまう。

拒み続ける橋は、まだまだ永いらしい。
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