第65話 意識の海

文字数 316文字

ゴロー太は恋いをした。
ほんの少しのあいだだけ、幸せを感じた。
君がいた道を走り続ける。
それが果てのない道だとわかった。そう思うしかかなかった。
それでも走り続けた。違う道を走る気になれない。
始まることなく、終わりもない。
どこかに、そんなカケラが見つかるんじゃないか。
悔しかった。悲しかった。
そんな君を見つけた。

ゴロー太は何度も振り返る。あるはずもない記憶。
君がいた道を走り続ける。
それは、とても素敵なことに思えた。
そんな君を見つけた。
交わす言葉はなくても、ただそれだけを抱きしめた。
果てのない道に夢はない。
始まることなく、終わりを待っている。
その奇蹟だけが輝いた。

ゴロー太は、果てのない道を走り続ける。
夢から覚めるには十分な時が過ぎた。
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