第37話 積み木のいかだ

文字数 441文字

ゴロー太は、積み木で ”いかだ” を組んで川を下る。
たまには、乗り物に乗るのも、いいかもしれない。
緩やかな流れに ”いかだ” を浮かべ、街を目指す。
目に映る光景は美しく、ずっといたくなるような気に、させる。
”いかだ” に揺られながら、
ゴロー太は、心地よさを、いっぱい吸い込む。
なんだか、とっても嬉しい。

川の流れが速さを増したころ、岩を避けるのに、
ゴロー太はキックを見舞う。
”いかだ” は、ギシギシと音を立てながら、左右に揺れ始める。
とびきり大きな岩が、近づいてくる。
ゴロー太は、ネコパンチを食らわす……痛いだけだ。
”いかだ” は、ボキボキと音を立てながら、崩れ始める。
もう、ゴロー太は ”いかだ” にしがみつくのが、やっとだ。
激流の途中、”いかだ” は木っ端ミジンコに砕け散って行く。

岸辺でゴロー太は、目が覚める。
その手には、ボコボコになった積み木が、たったひとつ残る。
全部、失ったわけじゃない。
街に行こう。
そして、出逢えたら、もうひとつの積み木を渡したい。

ゴロー太は、走り始める。
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