第６２話　虹を追いかけること

ゴロー太は走る。虹を追いかけて走る。
もしかしたら掴めるかもしれない。もしかしたら。
そこに辿り着きたい。３色に輝く虹の麓は、夢が叶うという。
目指すものがある。ゴロー太は、うれしくてしょうがない。
いつまでも、休むことなく走り続ける。
ゴロー太の眼に映るもの、それだけだ。
記憶が、思い出が蘇る。
伝説の丘、見知らぬ丘、名もない丘、機械仕掛けの人形、永遠に無垢なもの、
夢の丘、無限の丘、聞こえる谷、蒼い海、積み木の家、永い吊り橋、沈黙の丘、
そして走り続ける夢。

多くの言葉はもう必要ない。

ゴロー太は夢を見る。走り続ける夢を見る。優しさに抱かれたことを忘れない。

ゴロー太は、夢の中を駆け抜ける。