第25話 小さな幸福

文字数 391文字

いつもきっと、小さな幸福があると思う。
ゴロー太は見つけたい。どんなに小さくてもかまわない。
もしかしたら、この世界は、幸福に満ちているのかもしれない。
でも、ゴロー太は感じ取れない。
はやく走っても、立ち止まっても、なにも見えない。

ゴロー太は思い返す。
素敵な目をした猫に出会った時、誰かに声を掛けられた時、
なんとなく嬉しく思う。
風が心地良かったり、暖かい日差しを感じたりする。
夢中になって、思いっきりネコパンチを繰り出す時、
嫌なことを忘れてしまう。

ゴロー太は、少し嬉しい。
やっぱり、この世界は、幸福に満ちているのかもしれない。
何でもない事なのに、思い出すと、なんとなく嬉しい。
見えないけれど、触れることもできないけれど、
感じることができれば、それだけでいい。

きっと、いっぱい感じとれたら、たどり着けるような気がする。
きっと、小さな幸福が連れて行ってくれる。
それまで、いっぱい走っていよう。
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