第70話 冷たい風

文字数 251文字

冷たい風は君を運んでくる。
冷たい風は楽しい思い出を運んでくる。
日差しの向こうは、いつも笑っていた。
小さな葉が舞い落ちるころ、いつも夢がさらわれて行く。
小さな雨が舞い上がるころ、いつも傘を忘れてる。
そんなこと、そんなこと。

冷たい風はたくさんの言葉を話しながらやって来る。
何も言わない君の代わりに、友達を連れてくる。
日除けの木はいつも高く、高く見据えてた。
どこかで、きっと別れるんだと、少し距離をおいて歩いた。
その日が、ずっと来ないのだと思いながら、下を向いてしまう。

冷たい風は君のよう。
同じ風は吹かない。
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