第33話 蒼い海

文字数 252文字

蒼い海、その緩やかな波に乗って、
深く沈めた思いが、時を待っている。
誰の手にも届かないように、
誰の記憶にも残らないように、
その場を離れることは、無いようだ。
覗き見るゴロー太に、波しぶきの雨が降ってくる。

海風の心地悪さ、荒れた海岸線。
季節はずれの砂浜は、拒んでいるのだろうか。
砂に足を取られながら、ゴロー太は波際を走る。
時折、波はゴロー太を連れて行こうとする。
海は穏やかに、冷たい強さを現して、優しさを隠してしまう。
連れて行かれないように、ゴロー太は一気に駆け抜ける。
ゴロー太は、走り続けたい場所を見つける。
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