第104話 サブマリン

文字数 254文字

ゴロー太は狭いところが好きだ。
髭の両端が微妙に当たるような、
ちょっと肩を狭めないと行けないところ。

土管の中で、ゴロー太は思う。
そんな場所があったら最高だ。

こっそりと眼を光らせて外世界を覗く。
ゴロー太は潜望鏡になる。
どんなに海が荒れたって、海底はいつも穏やかで、
どこまでも響く音を頼りに、何処へでも行ける。

深く、深く、もっと深く、悲鳴のような軋み、
弾けるバルブの音。
息を潜め、身を沈め、不思議な世界を探検する。

そして、バラストタンクを捨てて、みんな捨てて、
浮かび上がる。

見慣れた世界が、少しは変わっただろうか。
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