第60話 飛び立つ鳥達に託すもの

文字数 301文字

飛び立つ鳥の様に一緒に飛んで行けたらいいのに。
その眼は遙かな大地を、その行く末を感じて風に聞くのだろう。
月明かりに輝く湖面を渡り、静かな夜に羽音を響かせては、
仲間と共に、落とす一粒の涙が星と見間違え、初めての空へと誘ってくれる。
森の奥の静けさ、滝の音、木も岩も水も、懐かしさを込めて唄っていた。
限りなく、限りもなく、空と大地の区別なく季節は動いて行く。

斜陽の影、永い時を経て、いつか別れ、いつかの出会いを夢見ては、
並んだ影を振り返る。そこは斜陽の影。またいつか来た道。

緑豊かに、オレンジの香りを身にまとい、目指す空は真紅の世界。
手にする奇蹟をこぼしながら、同じ言葉を繰り返す。
きっと違う、明日は違うと。
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