第20話 いのちの囁き

文字数 300文字

疑うことは必要じゃない。
やれることをしたら、後は待つだけだ。
走り足りないなら、走ればいい。
気が付けば、そっと側にいるかもしれない。
ゴロー太は、立ち止まって考える。

何かをしたことより、何かをしなかったことが気がかりだ。
それが、いつまでも、ゴロー太の足を引っ張る。
うまく言えなくて困ったことより、何も言わなかったことが、
多くの間違いを伝えたみたいだ。
その度に、ゴロー太は、傷ついた心を、持て余してしまう。

糸が切れた凧のように、どこへ行くか、わからない。
でも、それが優しく感じる時がある。
誰のせいでもないよ。そう、囁かれているみたいだ。
遅すぎたことなんて、一度もない。

だから、今日もゴロー太は、走れるんだ。
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