第26話 夢の丘

文字数 345文字

ゴロー太は夢の丘に立ち寄る。
黒い桜の咲く公園を抜け、青い薔薇の咲き並ぶ道を通ると、
その先に夢の丘はある。
猫達だけが知ってる秘密の場所。

ゴロー太はそこで、自分のために手紙を届ける。
丘の頂上で、いい風が吹いた時、手紙をそっと風に乗せる。
手紙はゆらゆらと宙に舞い上がり、天に届きそうになると、
銀のハトが現れ、手紙を運んでくれる。
どこにも届かないって知ってるよ。
でも、きっとどこかに届くんだ。

ゴロー太は、風が止むのを待ってる。
手紙を運んだ風が止むまで、ずっと待ち続ける。
君の空を知らないけれど、時を越えて飛んで行く。
夢をくれた君と同じ夢に届くように。

ゴロー太は、また走り始める。
どこまでも続く空のどこかに、きっと夢の届く場所がある。
同じ夢に出会える場所がある。
そう信じたくて、ゴロー太は走り続ける。
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