第81話 歩いた道と小さな傘

文字数 262文字

その物語の終わりは、優しい気持ちをゆっくりと引きながら、
ずうっと続く夢の彼方を呼び起こしてくれる。
流れゆく記憶の中で、そっと伸ばした手は何を掴むのだろう。
輝く照明が星のように瞬き、二度と来ない訪れに椅子を離れ、
今日一日起こったことが、まるで映像のように甦ってくる。

数多くの言葉の中に、そして続くことのなかった囁きは、
たぶん終わりが訪れる。
思い出したこと。一緒に歩いた道。小さな傘に包まれて、
いつまでも止まない雨のように走り出した。
心奪われたこと。一緒に口すさんだ合い言葉。

物語の終わりはいつも、想像を遙かに越えていてほしい。
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