第22話 奇蹟を抱きしめて

文字数 275文字

ゴロー太は夢を見る。

あの人は、そっとゴロー太に手を差し伸べる。
ゴロー太、その手に頬をすり寄せる。
あの人は、ゴロー太を抱きかかえると、ゆっくりと歩き出す。
木漏れ日の中、いつまで暖かく、どこまでも優しい。

ゴロー太は思う。
何もいらない。このまま時間が止まって、ずっと、ずっと続けばいい。

目が覚めたゴロー太は有頂天だ。
まだ、あの人の感触が残っている。
走り出したゴロー太の足は軽い。
夢だと分かってる。あり得ないことだって知ってる。
だけど、ゴロー太は嬉しくてしょうがない。
それが本当のことじゃなくても、奇蹟は起こるんだ。

ゴロー太は、大きくジャンプして走ってみる。
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