第103話 楽園と呼ばれた島

文字数 239文字

何でもない一日が、何となく過ぎれば、
繰り返した言葉が欠け始めたら、
探す必要なんて無くなる。

降り注ぐ太陽の光を、背中で受けながら、
渇いた砂が、陽炎の遠い世界を見始めたら、
探す必要なんて無くなる。

小さな風が、ゆりかごを揺らし、
ゆっくりと風車が回れば、
急ぐ必要なんて無くなる。

思い出を形づける町。
その美しい街灯は、星にはなれない。
高く聳える橋は、繋いではくれない。

ただ、そこにいるだけで、
昨日と呼ばれた明日を迎える。

何でもない一日が、とても大切に思えたら、
振り返る必要なんて無くなる。
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