第110話 Count Wave 48, Rain

文字数 317文字

「なぜ、独りなんだろう?」

変わることのない世界、言葉が溢れ出す世界、雨が降り続ける世界、
日差しが零れる世界。
その、どれもが同じ世界を言っていた。

「なぜ、想うのだろう?」

沢山の言葉が在った。声にした言葉が在った。探した言葉が在った。
その、どれもが、届くことは無かった。

「なぜ、夢を見るのだろう?」

怖い夢から逃げた。続きの無い夢を、追いかけた。
それは、本当のことだったかもしれない。

「なぜ、追いかけるのだろう?」

その先が、どこまでも続いていたら。
その先に、かつての場所が在るのなら、
ここから、始めても良いのだろうか?

「なぜ、見上げるのだろう?」

思い出が在った。記憶が在った。それを運ぶ明日が在るとしたら、
両手を拡げ、それを掴めるだろうか。
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