第29話 白い世界、青い空

文字数 323文字

朝霧の中、ゴロー太は真っ直ぐに走って行く。
真っ白な世界は、
まるで雲の上を飛んでるみたいに、
果てしなく続く永遠の時のように、
響かない軌跡を残して、広がっている。

叫んでも返ってこない。
吸い込まれるように、包まれるように、
どこまでも続くように感じる。
世界は小さく、見えるものが全て。
それでも、走って行く先は、広がっている。

朝日が全てを見せ始めるころ、
不思議な感覚が、消えて行く。
世界は広く、全てを見ることが、できない。
ゴロー太は、走るのを止め、ゴロンでみる。
両手を広げ、青くなった空に、ひとつ、夢を投げかけ、
その行方を寂しく思う。
それは、楽しかった夢だったかもしれない。
それは、哀しい夢が終わることだったかもしれない。

そしてまた、ゴロー太は走り始める。
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