第13話 思い出にはならない

文字数 332文字

ゴロー太が走って来た道。思い出すこと。思い描くこと。
求め続けることは、なんなのか。
探し続けることは、なんなのか。
振り返ることは正しいことなのか。
思い出にはならない。残り僅かな時間を惜しむかのように、
ゴロー太は走り続ける。

夢は未来を映さない。予感は星の動きほど敏感ではない。
振り払うこと。捨て去ること。
それで前に進めるのなら、喜んでそうしよう。
ゴロー太は、後戻りをしない。
たとえ、間違った道を選んだとしても、
駆け抜けてしまえばいい。

風は南から、もう、だいじょうぶと言うけれど、
なにかが、変わったわけじゃない。
変わることを、望んでいるわけじゃない。
目を開いた時、走り出すのに、余計な理由を考えたくない。
もっと前へ、もっと先へ。

決まった道を、ゴロー太は、走るのが嫌いだ。
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