第7話 重い雨の水曜日

文字数 338文字

バケツをひっくり返したような雨。
そんな日、公園の滑り台の下にゴロー太はいる。
地面は、まるで川のようだ。どこにも動けない。
時折流れてくる木の葉に、ネコパンチを食らわすのを、ゴロー太は怠らない。

たまらずゴロー太は、滑り台を駆け登る。しかし滑ってしまう。
さすが滑り台だ。
爪を立てても、引っ掻く音だけが虚しく響く。
滑りたくない。ゴロー太は肉球をしっかり押しつけて登る。

滑り台の上で、ゴロー太は後悔する。なんてこったい。
雨が重くのしかかる。身も心も、どしゃ降りだ。
ここから撤退だ。ゴロー太は、滑り台の階段を降りる。
行く当てのない身。まるで虚空の大地にいるようだ。

雨で視界は最悪。明日が見えない。
ゴロー太は走る。走る。目指すは 「満腹の木曜日」だ。
止まない雨はない。
ゴロー太は強く信じる。
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