第6話 早朝の月は火曜日

文字数 283文字

今日のゴロー太は、まったりとしてジューシーだ。
煮え切らない。
穏やかに通り過ぎる一日。ゴロー太は、それが気に入らない。
まったく、まったりとした一日だ。やりきれない。
平々凡々な日はゴロー太には合わない。いつも叫びたい。
猫の本能が騒ぎ立てる。

ゴロー太は合図を待っている。なんでもいい。
走り出せる理由があれば、いつだってOKだ。
だが、今日みたいな日は、なにも起こらない。
月も出ていない。見上げる空は真っ暗だ。
気分も真っ暗だ。

こんな日は、ゆっくりと歩く。喉をゴロゴロ鳴らしながら、ゆっくりとだ。
今日の代わりに、明日はきっと冒険が待っている。

そんなことを信じるゴロー太ではない。
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