ウサギとカメ

文字数 619文字

「コイは煩悩が多いので、他の動物をお勧めします。今ならレベル2倍サービスでカメ1に乗り換えられます。」
 また、おかしなメッセージが出た。
「もしかして、リコール隠し?」
 コイに不具合があったのか?放流の影響で壊れたのだろうか。事故なの?それとも故意なの?
「いやですよ。お客様。サービスです。」
 ま、いいか。時間が惜しい。

 カメ1に乗り換えた。
「レベル400になりました。GPS復旧。システム、レッド状態。」
 え?レッドって危険なの?
「インジケーターは地獄のイメージカラー赤を示してます。絶好調です。」
 いちいち突っ込むのは止めよう。

 カメって泳ぐと速いんだ。フナとあまりかわらない。少し揺れるが、浮かんで流されているから景色も楽しめる。橋が増えてきた。人里に下りてきたってことか。水が濁り始めた。もしかしたら、体が誰かに発見されるかもしれない。しかし、人がいないなあ。過疎ってやつか。親が年をとったら田舎でのんびり暮らしたいとかいってたけど、何にもないよな。コンビニもないね。

「最新のGPS画像見ますか?珍しい光景ですよ。」
 自分の死体を見るの?でも、気になるなあ。
「ちょっと、見せて。」

 黒い物体が流れている。
「鬼の体力消費量を押さえるため、白黒静止画になってます。」
 その物体の上に何か座っている。
「もっとズームできない?」

 ウサギだ。ウサギが背中に乗っている。僕は、イカダじゃないんだ。
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登場人物紹介

とりの ぎょくじ(玉子)

中学三年

王女の幼馴染で隣に住む

鉄道オタク

生物の雑学がある

いづみ おうめ(王女)

中学三年

玉子の幼馴染で隣に住む

ヘルパー死神

玉子の担当死神

おっちょこちょい

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