蜘蛛の巣

文字数 454文字

「警告!緊急回避してください。」
 操作できないのに、どうしろと言うんだ。大きく目の前が前後に揺れる。バンジージャンプの画面のようだ。キラキラした細い糸が見える。繊細な幾何学模様が体の周りを取り囲んでいる。
「クモ1番、憑依可能になりました。」

 やばい、蜘蛛の巣に捕まった。しかし、蜘蛛ならすぐに殺しにくることはないだろう。この際、少しでも操作に慣れよう。
「被害状況は?」
 やけくそで、聞いてみた。
「第一、第二エンジン停止。右主翼、軽度の破損。」
 へえ、そんなことまでわかるんだ。PRGからフライトシミュレータまで、カバー範囲は広いな。この際、ゲームと思うことにした。なまじ現実だと思うから混乱する。
 蝶は、じたばたしている。僕だったら、少しじっとしてるところなんだが。クモがゆっくりと縦糸を伝って近寄ってくる。近くでみると、生物離れしている。丸いドーム状の頭に目が点々といくつもついている。糸を吐き始めた。目の前が白い筋で覆われていく。いけない、つい見入ってしまった。

「クモ1番に憑依。」
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登場人物紹介

とりの ぎょくじ(玉子)

中学三年

王女の幼馴染で隣に住む

鉄道オタク

生物の雑学がある

いづみ おうめ(王女)

中学三年

玉子の幼馴染で隣に住む

ヘルパー死神

玉子の担当死神

おっちょこちょい

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