ローカル線の旅

文字数 481文字

 新幹線はスピードがあったので景色を見ているだけで、王女に近づいている感じがして、安心できた。が、ローカル線は遅い。実際はローカル線にしては速度が出てはいるが、新幹線との落差が大きい。このまま行けば、昼過ぎには小中駅に着く。あいつとの時間差が気になる。互いに携帯も持っていない。もはや、親父達とも連絡が取れない。

 乗換え駅までは1時間ほどかかる。ここで、高崎駅で買ったダルマの駅弁を食べておこう。釜飯も悪くは無いが、今は陶器の器は邪魔になる。病みあがりならぬ死にあがりの身としては朝粥がよかったのだが、さすがにこの時間になると売り切れていた。

 シェークスピア作の人生。ここで追いつくか追いつかないか、それが問題だ。もっとも盛り上がるのは、実はすでに追い越していて、あいつが死んだと勘違いした僕が死ぬということが考えられる。しかし、死神のやつは余命は変わらないといった。なら、追い越すストーリーはない。間に合わないというのは、いかにもシェークスピアらしいが、僕が落下したストーリーに比べれば安直すぎる。彼の晩年の作品はロマンス劇だ。ロマンスの神様に祈ろう。
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登場人物紹介

とりの ぎょくじ(玉子)

中学三年

王女の幼馴染で隣に住む

鉄道オタク

生物の雑学がある

いづみ おうめ(王女)

中学三年

玉子の幼馴染で隣に住む

ヘルパー死神

玉子の担当死神

おっちょこちょい

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