人生

文字数 479文字

 このペースだと後、1時間弱ってところか。舗装はされているが、細い山道を登っていく。あと少しのところで自転車では行けなくなった。降りて走ろうとする。しかし、足が痛くて、歩くのがやっとだ。死に上がりにはつらい。

 動物たちに憑依して感じたことがある。寿命の短いものほど忙しく生きている。そして、寿命が長くなるにつれ、のんびり過ごしていた。ところが、人間はどうだ。百年にしろ五十年にしろ寿命は長い動物だ。しかし、日々時間に追われ、せかせかしている。将来のことを考えるあまり、今をおろそかにしている。
 もし、死神が言うように、寿命が決まっているなら、今を充実させて生きたほうがいい。あいつを助けられるかわからないが、会うことができたら、余計なことを考えずに、告白しよう。

 この人生に元々意味があるのかとか、ストーリーがあるのかとか考えてもしかたがない。憑依したことで動物たちは寿命は変わらなくても、生き方は変わることになった。長生きすることが大切なんじゃなく、何をして生きたかが大切なことなんじゃないだろうか。

 トンネルを抜けると、赤いつり橋が見えた。
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登場人物紹介

とりの ぎょくじ(玉子)

中学三年

王女の幼馴染で隣に住む

鉄道オタク

生物の雑学がある

いづみ おうめ(王女)

中学三年

玉子の幼馴染で隣に住む

ヘルパー死神

玉子の担当死神

おっちょこちょい

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