蚤のサーカス

文字数 626文字

 蚤のジャンプはすごいと聞いていたが、ぼてぼてであまり飛ばない。満腹だからだ。この赤い点は、女性の看護師のズボンのすそに取り付いた。
「うまい。これなら、中へいける。」

 よく蚤の心臓とかいうけど、こいつは結構大胆だ。とにかく潰されないようにしてくれ。蚤をつけた看護師はエレベータに乗った。霊安室ってものは地下にあるはずだ。このまま地下に行ってくれ。が、無情にも反対の屋上についてしまった。止まった衝撃で蚤は看護師の背中にまで飛び上がってしまった。

「待った~。」
「いや、全然。」

 男の声がする。看護師ではないようだ。若い医者だな。インターンかもしれない。なんだか、雰囲気があやしい。こいつら付き合ってるのか?こういう世界ってドラマだけかと思ったら本当なんだ。将来、医者にはなりたくないな。その前に医学部に入れないけど。

「ん?何この赤いの?」
 男が女の背中にいた蚤を払った。蚤は弾き飛ばされ、屋上から地上へ落ちる。
「ギアー。死ぬ、死ぬ。」
 憑依先がない。

 あれ?警報が鳴るらない。まだ死なないってことか。蚤は空中をゆっくりと舞うように落ちていく。蟻などの小さい昆虫は軽いから高いところから落ちても平気だって聞いたことがあった。こいつもそうなんだ。

 蟻なら手足が長いので、スカイダイバーのように華麗に落ちることができる。しかし、赤いダルマは、風に飛ばされながら落ちていく。
「体はクルクル。落ちてもケロケロ。地面をコロコロ。」
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登場人物紹介

とりの ぎょくじ(玉子)

中学三年

王女の幼馴染で隣に住む

鉄道オタク

生物の雑学がある

いづみ おうめ(王女)

中学三年

玉子の幼馴染で隣に住む

ヘルパー死神

玉子の担当死神

おっちょこちょい

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