羽化

文字数 570文字

 夜が明けた。目の前が揺れる。やがて、強烈な光が差し込んできた。空が青い。あれ?トンボって複眼だから同じようなものがいくつも見えるんじゃなかったっけ?

「本システムはAI搭載ですので、自動補正しております。」
 地獄ってそんなに進んでるんだ。
「Gスポーツとして地獄五輪、通称ジゴリンに採用予定です。」
 聞いたことのない単語のオンパレードだ。
「eスポーツじゃないの?地獄に五輪あんの?」
 死神は得意気に
「Gは地獄のG。ジゴリンは8大地獄の赤鬼・青鬼・死神・仏・亡者の5種族が競う、スポーツの祭典です。灼熱と寒冷があります。ちなみに、前回の総合優勝は死神でした。」
 と、解説した。

 体が温まってきた。ふわっと浮かび上がる。視界が安定している。ドローンで見ているようだ。前後左右、自在に飛ぶ。ホバリングも楽々。トンボってすごいなあと改めて感じた。とりあえず、川下に向かってくれと祈る。

 するとどうだ。青いマーカーのほうに向かうじゃないか。
「レベルが100になりましたので追跡機能が強化されました。」
 解説が表示された。ロールプレイングゲームと同じだ。最初、ひたすらレベル上げをしてから、冒険に出る。なんとなく、要領がつかめてきた。シューティング系は苦手だが、RPGは得意だ。ただ、ライフは1から増えないんだよね、きっと。
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登場人物紹介

とりの ぎょくじ(玉子)

中学三年

王女の幼馴染で隣に住む

鉄道オタク

生物の雑学がある

いづみ おうめ(王女)

中学三年

玉子の幼馴染で隣に住む

ヘルパー死神

玉子の担当死神

おっちょこちょい

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