カラス、なぜ鳴くの?

文字数 544文字

 カラスの視界は結構いい。地上のものがよく見える。とても数メートル上空からみているとは思えない。熊は僕の体をくわえたまま茂みの中に入っていった。巣に持ち帰るつもりだろうか?
「見失った!」
 そう思ったとたん、カラスがギャーギャー騒ぎ始めた。

「どうしたんだ。」
 僕は驚きと戸惑いで思わず叫んでしまった。
「カラス同士で会話してます。」
 死神は相変わらず感情のこもってないトーンで伝えてきた。
「翻訳機能はないの?」
 死神は少し間をあけてから
「お聞きにならないほうがいいと思いますけど。」
 といってくる。そういわれると気になる。
「そうですか。どうしてもというなら。」

 鳴き声が消えて、会話が聞こえてきた。
「あの、ハゲどこに行った?」
「あの、ツルツルなら山田さん家のほう。」
「あの、毛無しは、その先の空巣の洞窟に連れてかれたよ。」

 なんだ、このむかつく会話は。もう、聞きたくない。
「カラスにとって、人間は毛のない動物ってことのようですね。」
 確かに、熊に比べたら毛が薄いですよ。でも、ハゲハゲって。これでも、親父のハゲ遺伝を気にしてるんだから。
「鬼からみても毛が薄いですから。」
 地獄のやつらは、人間を馬鹿にしてるだろう。
「亡者ですよ。鬼より下です。」
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登場人物紹介

とりの ぎょくじ(玉子)

中学三年

王女の幼馴染で隣に住む

鉄道オタク

生物の雑学がある

いづみ おうめ(王女)

中学三年

玉子の幼馴染で隣に住む

ヘルパー死神

玉子の担当死神

おっちょこちょい

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