カッコウが巣の上で

文字数 552文字

 どうしたらいいか悩んでいると、隣からぐいぐい押されている。
 体の一番大きい白黒のやつが背中を押しつけてくる。
「危ないなあ。落ちたらどうすんだ。何してくれんだ?」
 逃げても追いかけてくる。

「ヘルプ・ミー。」
 死神を呼びだした。
「お呼びですか?」
 のんきそうな声がする。
「コマンドモードとかないの?」
 ゲームなら何か技があるだろう。
「試作品なんで制限はありますが、死神の鎌で操作する死神仕様と、金棒で操作する鬼仕様があります。」
 何、その鬼畜な仕様。
「人間仕様ってないの?」
「想定外で。今回が初めて。」
 あっさり、言ってくれる。
「もっと使い易いシステム、無いの?」
「今回は大王様のお友だちが開発されてますので、キャンセルいたしますと舌魔池の連中から違約金を請求されますけど。」
「それじゃ、ま、いいか。」
 ってなるかい!
 この際、背に腹は代えられない。
「いくら?」
「100ねん。」
 なんだ、たいしたことないじゃんか。
「100円ぐらいなら戻ったら払うよ。」
「寿命100年ですけど。」
 そんな、本当に死んじゃうじゃん。

 そうこうしている内に、水の中に落ちた。
「これが托卵ってやつか。」
 あのでかいのはカッコウのヒナに違いない。僕は巣から落とされたのだ。
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登場人物紹介

とりの ぎょくじ(玉子)

中学三年

王女の幼馴染で隣に住む

鉄道オタク

生物の雑学がある

いづみ おうめ(王女)

中学三年

玉子の幼馴染で隣に住む

ヘルパー死神

玉子の担当死神

おっちょこちょい

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