早く、人間になりたい!

文字数 578文字

「緊急警報!至急、憑依先の変更が必要です。アメンボ1、めだか1、2への憑依が可能。」
 優雅な空の旅を楽しんでたのに何だ。川の上だし、危険なものは見えないけど、、緊迫したメッセージだ。ここまで来て、死んではたまらない。
「めだか2」

 いい終わるか終わらないうちに、激しい横揺れが起こった。続けての目もくらむ横回転の中、意識がとんだ。
 気がつくと、川の中にいた。見上げると、大きな緑色の葉っぱの上に茶色い達磨のような生物が、口をむしゃむしゃ動かしていた。
「蛙だ。もしかして、クモを食べているのか?」
 危ないとこだったようだ。

「ヘルプ!もう少し、警告を早くできないの?」
 このままだったら本当に寿命が縮む。
「死神仕様でしたら、全生物の寿命が数値化されて出るんですけど。」
 もしかして自分の体を見たら、寿命がわかるの。なんだかなあ。
「鬼仕様は?」
 たぶん無駄だけど、くやしいので聞いてみた。
「鬼の場合は、相手を攻撃できますのでライフゲージが出ます。レベルが低いとライフの低い相手にしか憑依できません。」
 レベルが低いから、憑依した相手がすぐ死んじゃうんだ。ありがちな設定だな。
「亡者でも数千万から数兆年の寿命がありますから、気にしないんですけどね。」

 地獄のものだから地獄を基準につくられているのね。
「早く、人間になりたい!」
ワンクリックで応援できます。
(ログインが必要です)

登場人物紹介

とりの ぎょくじ(玉子)

中学三年

王女の幼馴染で隣に住む

鉄道オタク

生物の雑学がある

いづみ おうめ(王女)

中学三年

玉子の幼馴染で隣に住む

ヘルパー死神

玉子の担当死神

おっちょこちょい

ビューワー設定

文字サイズ
  • 特大
背景色
  • 生成り
  • 水色
フォント
  • 明朝
  • ゴシック
組み方向
  • 横組み
  • 縦組み