モリですか?ガケですか?

文字数 419文字

 イノシシは無茶苦茶速い。川岸の崖を猛烈なスピードで突っ走る。でも、憑依じゃないから、僕の体が流れているであろう川からは、どんどん離れ、森へ向かい始めた。

「モリは止めて、ガケに行って。」
 突然、泥水がかかった。ため池に、はまったのだ。
「飛行体制に入ります。上昇中は揺れますのでお気をつけ下さい。風の影響により目的地と異なる場所に到着することがございます。」
 新たな音声が次々と出る。こんなゴミ仕様入れてるから費用がかさむんだ。

 クモは尻から長い糸をだした。糸は風にあおられ、クモの体をぶら下げたまま、ふわりと浮かんだ。気球に乗ったらこんな感じなんだろう。さほど高くはないが、眼下に草むらを見ながらイノシシが来た道を同じような速さで戻っていく。風というのは川に沿って流れていることが多い。問題はどっちに行くかだ。

 幸い川上から川下に向かっている。風しだいというのは心もとないが、この調子なら意外と早く追いつくかもしれない。
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登場人物紹介

とりの ぎょくじ(玉子)

中学三年

王女の幼馴染で隣に住む

鉄道オタク

生物の雑学がある

いづみ おうめ(王女)

中学三年

玉子の幼馴染で隣に住む

ヘルパー死神

玉子の担当死神

おっちょこちょい

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