渡る世間は、鬼だらけ

文字数 749文字

 カワウソは右の細いほうへ入っていく。どうも、違う気がするが、カワウソは目もいいらしいので信じよう。
「流れはゆっくりなのに、マーカーの移動速度が速い。また、何かに食われたのか。」
 カワウソも全速力で追いかける。川の中を自転車なみの速度で泳いでいる。川から離れた。また、熊か?

「鬼に確認させられない?」
 誰でも思うだろうことを尋ねた。
「GPS本部からの回答です。鬼は亡者以外に手出しすることを禁じられています。桃太郎や一寸法師など複数契約なので簡単に変更はできません。」
 融通が利かないなあ。
「そこを何とか。」
 こっちは命が懸かっているわけで。さらに食い下がってみた。しかし、結論は変わらない。
「日本だけでも、1億ほどの鬼たちが存在を隠してそちらで活動してますから、大変なことになりますよ。」
 鬼って、そんなにいたの。
「人の数だけ、鬼もいます。」
 大喜利してる訳じゃないから、うまい答えなんていらない。

 カワウソは陸上でも十分速いが、いきなり警告音ととも川へ引き返し始めた。
「もう少しってとこで、どうした?」
 ここで諦める理由がわからない。
「監視下になるようで、決められたエリア外に出ると、電気ショックを受けるようになっていますね。」
 それじゃ、追跡には向かないでしょ。

「ほかに憑依できるものは?」
「ありませんね。あっ、GPS止まりましたね。画像来ました。」
 銀色の四角いものが草むらにある。僕の携帯に似ている。
「はい。そうですか。」
 死神は誰かと話をしているようだ。
「青大将が野外ゲロしていたそうです。」
 え?あの、有名俳優が野外ロケ?
「野外ゲロです。蛇が吐いたものです。」

「水没した携帯をゲットしました。」
 空しくメッセージが流れる。
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登場人物紹介

とりの ぎょくじ(玉子)

中学三年

王女の幼馴染で隣に住む

鉄道オタク

生物の雑学がある

いづみ おうめ(王女)

中学三年

玉子の幼馴染で隣に住む

ヘルパー死神

玉子の担当死神

おっちょこちょい

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