高崎

文字数 538文字

 郊外に行くと、電話をやたらとかけているおばちゃんが来た。大抵は、席でまわりにかまわずかけるというのに、最近ではめずらしい。よく見ると、メモを見ながら、順番に電話をかけているようだ。かけては切るを繰り返している。名簿業者のバイトだろうか。こちらに背を向けて、隠れるようにもくもくと続けていた。

 新幹線は高崎に着いた。ここからJR両毛線に乗り換えだ。都内では八王子を田舎扱いするが、ここよりはずっと都会だと感じた。エレベータで下りて、乗り継ぎ用の改札を通る。自転車を抱えているためか、有人の改札に誘導された。
 もうSLは出た後か。休日になればSLやディーゼル車を見に鉄道ファンが訪れる。運がよければ、ディーゼルに引っ張られて逆送するSLも見られる。道が線路のそばにあったり、橋や陸橋の下をSLが通過するため、沿線には上からの写真が取れる撮影ポイントも点在する。
 最近はそうでもないが、鉄道ファンでなくても横川の釜飯とかは聞いたことがあるだろう。

 王女が6時頃の電車に乗っていれば、八王子から高崎への直通の八高線を使った可能性もある。そうすると、2時間ほど前にここに着いていることになる。かなり、厳しい状況だ。うまくだまされていてくれれば、親父達の方が早くつきそうだ。
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登場人物紹介

とりの ぎょくじ(玉子)

中学三年

王女の幼馴染で隣に住む

鉄道オタク

生物の雑学がある

いづみ おうめ(王女)

中学三年

玉子の幼馴染で隣に住む

ヘルパー死神

玉子の担当死神

おっちょこちょい

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