キンのメガネ

文字数 496文字

 カワウソは、うそのように速い。あっという間に、ウサギを乗せた死体に近づいた。
「武器を使いますか?かける・なげる」
 初めて武器が使える。ここは、確実にいこう。
「ウサギになげる。」

「ウサギにメガネをなげました。ウサギのライフポイント1万減少。残り5千6百万32ポイント。」
 焼け石に水じゃないか。
「次、かけるで。」
 応答がない。
「メガネ、メガネ。」
 カワウソが頭を左右に振りながら、前足で水底をあさっている。
「メガネ、なくしました。」
 唯一の武器が、なくなってしまった。

「お前の無くした、メガネはこの、キンのメガネか?」
 閻魔が出てきた。
「何、この童話仕様。」
 困惑していると、
「嘘をつくと大変なことになりますよ。」
 死神のアナウンスだ。
「メガネが帰ってこなくなるとか?」
 子供でも知ってる。僕は、ちょっとあきれた。
「いいえ、舌を抜かれます。閻魔ですから。」

「ごくふつうの乱視用レンズのメガネです。」
 しかたなく、答えた。
「正直者だ。この『きん』と『えん』のメガネもやろう。」
 こうして、近視用、遠視用、乱視用と3仕様のメガネを手に入れた。
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登場人物紹介

とりの ぎょくじ(玉子)

中学三年

王女の幼馴染で隣に住む

鉄道オタク

生物の雑学がある

いづみ おうめ(王女)

中学三年

玉子の幼馴染で隣に住む

ヘルパー死神

玉子の担当死神

おっちょこちょい

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