あんた、体どこさ

文字数 485文字

「ワンワン。」
 犬の声がする。きっと猟師だ。情報に従って洞窟のほうへカラスは飛ぶ。
「パン!」
 乾いた銃声がした。青いマーカーが山の下のほうに向かってまっすぐ動いている。熊が撃たれたのか?この斜面から落ちたとしたら、骨折どころではないぞ。
「肉体修復サービスつきですので、どんなにぼろぼろになっても大丈夫です。半分も残っていれば元通り。後遺症もありませんので、ご安心を。そうそう、先日、誤って魂と一緒に頭を鎌で切り落とした際にも、無事に誤魔化せましたから。」

 マーカーが止まった。木に引っかかったようだ。前例があるだけに、自分の体か確認しないと。熊は見当たらない。崖の突き出した枝の上に、何か乗っかっている。カラスの目は色が不鮮明で、遠くからではわからない。その時、もう一つの小さな影が近づいていた。そいつは、木の枝をゆすっている。
「猿だ。」
 縄張りを侵されたと思ったのだろうか。
「そっとしておいてくれ。生き返ったら、すぐいなくなるから。」

「ドボーン!」
 願いもむなしく、下の湖に僕の体は沈んだ。
「ウー、ウー。」
 サイレンが鳴る。ここはダム湖だ。
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登場人物紹介

とりの ぎょくじ(玉子)

中学三年

王女の幼馴染で隣に住む

鉄道オタク

生物の雑学がある

いづみ おうめ(王女)

中学三年

玉子の幼馴染で隣に住む

ヘルパー死神

玉子の担当死神

おっちょこちょい

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