襟裳259

文字数 797文字

「オスの三毛猫です。レアものポイントつきました。レベル1000、到達おめでとうございます。」
 目の前に黒い点や縞が動き回る。プーンという激しい耳鳴りもする。

「おーい、壊れたんじゃないのか?」
 あまりの気持ち悪さに死神に聞いた。
「1000イベントの『レアもの連続確変モード』に入ったので効果が付きます。飛蚊症とモスキート音。死神チャート1位ですよ。」
 死神は興奮している。
「効果、消して。」

「人間用は効果改善の余地ありと。」
 死神が独り言をつぶやいている。
「何してるの?」
 僕は、やつへの不信感から思わず尋ねた。
「はい、アンケートに記入してます。試作品ですからね。」
 つまり、僕はモニターってことですか?
「成功すれば、人間界に売り込もうと『すごいぞ!地獄』を合言葉に舌魔池の連中、張り切ってます。」
 死神は得意気だ。
「『襟裳259』って知りませんか?」
 エリア51みたいなの?地獄って宇宙人と一緒なの?
「一部の政治家には地獄ツアーは人気ですよ。悪徳政治家が減ったと感謝されてます。」
 それで、やたら妖怪地味てるのか?

「ヴー、ウオン!」
 すごい勢いで景色が流れている。犬に追われている。憑依先間違った。逃げろ!
「お客様、運がいいです。有料レアキャラが確変で無料になるという滅多にないチャンスです。」
 死神のやつ、この一大事に何のんきなことを。
「別に、お客様が操作しているわけじゃないし、寿命は決まってるんです。じたばたしてもしかたないでしょ。」
 それはそうだが、冷静でいられるわけないだろ。

 犬は飼い主を振り切って追いかけてくる。犬の散歩をするならリードと糞始末は最低限のマナーだろ!

 猫は、車道に飛び出した。追いかける犬。
「プー!」
 クラクションが、けたたましく鳴った。
「ギャウン。」
 犬が車道の先に飛ばされた。猫でよかった。
ワンクリックで応援できます。
(ログインが必要です)

登場人物紹介

とりの ぎょくじ(玉子)

中学三年

王女の幼馴染で隣に住む

鉄道オタク

生物の雑学がある

いづみ おうめ(王女)

中学三年

玉子の幼馴染で隣に住む

ヘルパー死神

玉子の担当死神

おっちょこちょい

ビューワー設定

文字サイズ
  • 特大
背景色
  • 生成り
  • 水色
フォント
  • 明朝
  • ゴシック
組み方向
  • 横組み
  • 縦組み