凄腕スリッパー

文字数 564文字

 困ったことになった。このままだと、肉体は自宅に行ってしまう。100キロメートルほど、離れたところに戻されるとなると、何で移動すればいいのか。動物たちが電車や車をうまく乗り継げるとは思えない。自力で移動するとなると、鳥ぐらいなものだ。鳥には縄張りがあるから、果たしてどこまで追いかけてくれるのか。

 このままでは、数日で火葬にされてしまう。ライフラインで事情を説明するか。いや、何日も遺体を放置すれば、犯罪になりかねない。

 家族にくっついて、移動できる方法はないか。それより、霊柩車にくっつくほうがいい。おそらく中は確認できないが移動ロスがない。しかし、そんなうまい方法があるのか。わからないが、とにかくここを出たい。

 しかし、狙ったゴキブリは必ず仕留める、仕留め・ハンターと呼ばれる凄腕スリッパーの母さんから、よく逃げられたものだ。関心しているのもつかの間、どうも動きがおかしい。漏れてくる明かりの中で自分の体を見た。体の回りからやわらかいものが飛び出している。
「なんじゃこりゃー!」
 内蔵が飛び出している。やはり、あの一撃は避けられなかったんだ。しかし、ゴキブリとはタフなものだ。さすが何億年と同じ形で生き続けているだけのことはある。

「クマネズミ1、団子虫1に憑依できます。」
 ここはクマネズミにしよう。
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登場人物紹介

とりの ぎょくじ(玉子)

中学三年

王女の幼馴染で隣に住む

鉄道オタク

生物の雑学がある

いづみ おうめ(王女)

中学三年

玉子の幼馴染で隣に住む

ヘルパー死神

玉子の担当死神

おっちょこちょい

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