判決

文字数 584文字

「とりのたまご、刈ってきました。」
 気がつくと、巨大な赤い顔をしたおっさんの前にいた。なにかで見たことがある。
「閻魔!」
 ということは、地獄。僕は死んだ?

「鳥の卵を買ってこいと言ったんだ。」
 赤やら青の鬼たちが集まり何か協議している。何だか、様子が変だ。僕の横に突っ立っている黒装束の骸骨はキョトンとしている。

「オホン!判決を言い渡す。」
 地獄はいやだ。痛いのいや。熱い、冷たいもいや。高いとこから落ちるなんてもっといや。
「クーリングオフ!」

 僕は耳を疑った。最近アニメで地獄にはちょっと詳しくなったつもりだ。でも、そんな地獄聞いたこともない。クールだから寒いの?でも、オフだから暑いの?
「すぐ、現世へ送り返せ。」
 大王は、僕の横にいる死神に告げた。
「手違いだ。自分の体に戻れ。」
 僕に下された判決に、大王のそばにいる役人風の鬼が付け足した。
「ただし、葬儀前に戻れよ。」

 どうやら、死神の聞き違いで殺されてしまったらしい。そこで、魂を送り返すクーリングオフ裁定となった。
「葬儀で成仏させられると戻れないぞ。今回は大王様の計らいで、肉体修復サービス付だ。」
 別れ際に死神が念を押す。いや、そっちのミスだから。と、いいたいところを我慢した。心象を悪くして地獄行きになっては困る。僕は、魂の刈られた場所、あの吊り橋の下に戻ってきた。
ワンクリックで応援できます。
(ログインが必要です)

登場人物紹介

とりの ぎょくじ(玉子)

中学三年

王女の幼馴染で隣に住む

鉄道オタク

生物の雑学がある

いづみ おうめ(王女)

中学三年

玉子の幼馴染で隣に住む

ヘルパー死神

玉子の担当死神

おっちょこちょい

ビューワー設定

文字サイズ
  • 特大
背景色
  • 生成り
  • 水色
フォント
  • 明朝
  • ゴシック
組み方向
  • 横組み
  • 縦組み