めがね、めがめ
文字数 586文字
あわただしく乗り換え続きで、少し疲れた。しかし、寝過ごすと大変だ。座らないようにしよう。一号車の運転席のすぐ後ろのデッキにもたれかかりながら立っていた。座席は空いているが、他にも同じように立っている中年のサラリーマンがいる。無精ひげを生やしたその男は、英語がかかれた紙を見て、赤ボールペンを走らせていた。何かのプログラムのようだ。ここのほうが、集中できるのだろうか。それとも単なる変人か。
これから出張なんだろう。昔の映画にでてくるような、大きな茶色の鞄を足と壁の間に入れている。ネットの時代になっても、分厚い紙の資料とか持ち歩いているんだろうか。かなり目が悪そうだ。度の強いメガネを掛けている。そういえば僕のメガネはどうなったんだろう。
「ヘルプ!死神!」
そっと、小さい声で呼んでみた。相手は地獄耳だ。
「お呼びですか?」
死神から返事があった。
「メガネと携帯はどうなった。」
僕は周囲に聞こえないように死神にそっと尋ねた。
「それなら、まだ預かってます。それと、近と遠のメガネも。」
自分のだけでいい。とにかく返してくれ。携帯は水没していてやはり使えない。予想はしていた。今度はメガネをかけた。目の前に白い筋が一杯見える。飛蚊症か?
メガネを外して、レンズを見ると無数の傷がある。川の石にでもこすったか?いや、あいつだ。アライグマがこすったからだ。
これから出張なんだろう。昔の映画にでてくるような、大きな茶色の鞄を足と壁の間に入れている。ネットの時代になっても、分厚い紙の資料とか持ち歩いているんだろうか。かなり目が悪そうだ。度の強いメガネを掛けている。そういえば僕のメガネはどうなったんだろう。
「ヘルプ!死神!」
そっと、小さい声で呼んでみた。相手は地獄耳だ。
「お呼びですか?」
死神から返事があった。
「メガネと携帯はどうなった。」
僕は周囲に聞こえないように死神にそっと尋ねた。
「それなら、まだ預かってます。それと、近と遠のメガネも。」
自分のだけでいい。とにかく返してくれ。携帯は水没していてやはり使えない。予想はしていた。今度はメガネをかけた。目の前に白い筋が一杯見える。飛蚊症か?
メガネを外して、レンズを見ると無数の傷がある。川の石にでもこすったか?いや、あいつだ。アライグマがこすったからだ。