中心クラクラ

文字数 401文字

 ダムの放流が始まった。湖面に浮かぶ流木がダムの先端に吸い寄せられている。僕の体もきっとその中にまぎれているに違いない。流木に引っかかっていれば、ここに留まる可能性はある。しかし、水中なら何十メートルという高さから、一気にダイブだ。複雑骨折ではすまない。原型さえ留めていられるかどうかも怪しい。

 カラスではどうにもできない。マーカーは徐々にダムの先端へ進む。ジェットコースタの落ちる直前のように、尻のあたりがもぞもぞしてきた。
 ついに、マーカーが堤防の先へと移動した。水流が多くて体は見えない。

「フナ1、カメ1、イモリ1に憑依できます。」
 きた!ここはフナになろう。

 フナじゃ、フナじゃ。水中でござる。

 間違いなく、ぼろぼろだろう体をひたすら追いかける。激しい濁流に、フナも体中を大石にぶつけながら、頭の中心ががクラクラしている。やがて、流れが緩やかになり、水面がキラキラし始めた。
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登場人物紹介

とりの ぎょくじ(玉子)

中学三年

王女の幼馴染で隣に住む

鉄道オタク

生物の雑学がある

いづみ おうめ(王女)

中学三年

玉子の幼馴染で隣に住む

ヘルパー死神

玉子の担当死神

おっちょこちょい

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