鯉に恋して

文字数 584文字

 フナが、猛スピードで追いかへていると、赤黒白の混ざった魚が前方の視界に入った。視界にピンクのもやがかかる。

 え!?、これってもしかして。

 その魚は下流から、上流に向かっている。鯉だ。何とか三色ってやつだ。鯉の滝登りっていうくらいだ。放流によってかき混ぜられた栄養豊かな上流に向かって力強く進んでいく。青いマーカーが消えた。フナは反転すると、後を追いかけ始めた。
「追跡装置が本能に負けた。お前はフナだ。かなわぬ恋を追いかけないで。」

「目標、逃亡中!追跡のため、鬼を一体追加します。」
 メッセージが流れる。
「GPSに鬼を追加しました。今、追いかけてますのですぐに見つかると思います。」
 追いかけてる?変な内容に、聞き返した。すると案の定、おかしな答えが返ってきた。
「はい。GPS-地獄パパラッチシステムーに登録されている鬼たちが実際に追いかけて、画像を送ってきます。その画像を解析して追跡するのがAI-AKAONI/AOONI-機能です。」
 だからパパラッチなのね。

「そんなこと、しゃべって平気なの?」
 死神の心配している場合じゃないだろ、僕。
「これ地獄の観光案内にも載ってます。ちなみに鬼は角を使って通信してます。」
 あの角って、アンテナだったの?
「1本より2本のほうが感度がいいので、1本角は追跡班、2本角は本部に配属されます。」
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登場人物紹介

とりの ぎょくじ(玉子)

中学三年

王女の幼馴染で隣に住む

鉄道オタク

生物の雑学がある

いづみ おうめ(王女)

中学三年

玉子の幼馴染で隣に住む

ヘルパー死神

玉子の担当死神

おっちょこちょい

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