オレオレ

文字数 569文字

 場所は特定できた。問題はどうやって、追いつくかだ。八王子から群馬まで、100キロほど。親父たちに探してもらってもいいが、説明が面倒だ。あいつの声色で騙せないかな。
「ライフライン使う。」
 いい手を思いついたものだ。われながら関心する。
「電話番号をお願いします。」
「えー。携帯の電話帳・・・。」
 って水没してた。家電は無い。思い出せ。無理だ、11桁なんて覚えてるわけが無い。いや、あいつのなら覚えている。だめもとだ。

「ブー!ブー!」
 あれ、僕の部屋で音がする。あいつ、忘れてったんだ。
「はい。」
 オウメの親父さんだ。
「エッグ、グスン、私。」
 こんなベタな演技で、騙せるのか?
「オウメか。2六歩。」
 え?いきなり将棋。そうか、本人確認だ。どうする。将棋なんて知らないぞ。もういいや、やぶれかぶれだ。
「5五歩成り。」
「おいおい、そんな手は無いぞ。どうした。」
 ん?いいのか。正解なのか。そうか、騙そうとする連中は必死だから、まともに受けてしまうんだ。だから、ありえない手が正解なのか。
「玉・・落ちた・・橋・・・死ぬね。」
 ばれないように裏声で途切れ途切れに話すと、急いで切った。親父さんはそのまま自宅へ向かった。

 うまくいけば、探しに言ってくれるかもしれないが、安心はできない。常人なら詐欺だと考える。
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登場人物紹介

とりの ぎょくじ(玉子)

中学三年

王女の幼馴染で隣に住む

鉄道オタク

生物の雑学がある

いづみ おうめ(王女)

中学三年

玉子の幼馴染で隣に住む

ヘルパー死神

玉子の担当死神

おっちょこちょい

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