休日の散歩(2024.4③)

文字数 277文字

休日の散歩は
ひとりになって
自分を無くすため

人通りの少ない細道を
誰ともすれ違うことのない路地を
選び歩いて
たどり着いたのは
墓地でした

見知らぬ骨が
眠る墓石は
見守るでもなく
受け入れるでもなく
僕を
淋しくない程度の
ひとりにしてくれる

いつか
そう遠くもない
いつか

僕も
焼かれて
骨になる

悲しい
とか怖い
なんて
思わない

だって
ここにいる
みんなも
焼かれたのだから

コートの右ポケットに隠した
カップ酒を取り出す

 飲めるうちに
 飲んだらいい
 仕事は忘れて
 ゆっくりしていきな

聞いた
ことの
あるような
ないような
声がする

墓地で
飲むと
いつもの
安物でも
格別な味がします

それでも生きている
そんな味です
ワンクリックで応援できます。
(ログインが必要です)

登場人物紹介

登場人物はありません

ビューワー設定

文字サイズ
  • 特大
背景色
  • 生成り
  • 水色
フォント
  • 明朝
  • ゴシック
組み方向
  • 横組み
  • 縦組み